…続き、スイングのフッキング-Ⅱ

左-ストレートアイ・ストレートポイント・ヒネリ無し(チューブフライ用)
右-アップアイ・カーブポイント・ヒネリ有(エサ針流用) ※ゲイプ幅は同じ
…続き、スイングのフッキング-Ⅱ
「自分は当たったら合わせをして、大物も数も釣っている」という反論もあるかと思う。
この様な人は沢山いるはずで、嘘ではない。では、どうしてスッポ抜けないのか?
大物が釣れた理由の大半は、魚はフライを捕えた後に反転するので、合わせた時には
反転後で結果的にしっぽ側から引いていた可能性が高い。
実は重要なのは大物が掛からなかった数と大物をバラシた数。前者は大きな手応えが
あった魚。バラシについては諸々の原因があるので、掛かり所が悪くフックが外れ
た場合を想定。
こちらに付いては誰もが相当悔しい思いをしているはずで、そうでなければサーモン
フィッシングの長い歴史の中でフッキング方法の研究など不要であったはずだ。
これに対し、ミスをせずにしっかりとスイングのフッキング方法を行ったのに、大物が
フックに掛からなかったという事は稀で、確率にするとは2~3%程度に思う。
(小さ過ぎるフックを使った場合は論外)
しかし、ある特定の状況では90%以上掛からない。この状況とは流れが遅すぎる場合で、
自分の足元の流れに近づいたスイングの終盤も含まれる。こうした状況では魚が走って
くれないので、スイングのフッキング方法を行う事が難しい。
ただし、スイングの終盤に当たってしまって掛からなかった場合は、追っては来たが、
なかなかバイトしなかった魚で、上手く流せていれば釣れていたはずの魚である。
そうではなく「始めからそこに居た」と言うのであれば、ウエーディングのし過ぎに
よる立ち位置のミス。いや、「岸際から釣っていた」と言うのであれば、岸際に居た
魚という事になり、そこは元々スイングの釣り場ではない。
ちなみに説明が遅れたが、スイングのフッキング法を実践して失敗すると、ほぼ100%
掛かる事は無い。なぜならスイング中は当たった魚を走らせる為にリールのドラグは
かなり弱めにセットし、なおかつラインには一切手を触れていない為だ。
この状態で勝手に手が動いてしまうと、間抜けなリールの逆転音が鳴りロッドを跳ね
上げた長さの分だけランニングラインが出てジ・エンド。
私の場合はスイングのフッキング方法を予備知識として持った上で、本流の釣りを始
めたのだが、この方法で最初の一匹を釣るまでには相当な時間を費やした。
というのも、練習もせずに本流で振るダブルハンドは釣り以前の話で、30ヤードが精
一杯。風が吹けば「爆風で…」と言い訳、フラットビームの処理には困らなかったが、
絡むほどの長さが出ていなかっだけの事…
おまけに、奇跡的に当たっても、失敗したら100%掛からない事が約束されていた。
それでも、何とか続けられたのは意地と、たま~に付き合ってくれる50オーバーの
アメマスや良型のニジマス、そして飽きない程度に掛かるチビッコ達のおかげ。
これらは、リトリーブで掛けたと言えば聞こえは良いが、狙ったレーンで釣った訳で
はなく、実態はラインの回収中に釣れてしまった魚にすぎない。
そして、待望の当たりが来ても反射的にロッドを跳ね上げてしまう。我慢できた時で
も走る魚に対し、勢い良く合わせてしまってのスッポ抜けも一度や二度では無かった。
そんな中、当たる時の流れ方というか雰囲気が伝わる事があった。実際に当たり、初
めて上手く行ったのはその時で、とても冷静に対処する事が出来た。
数釣りにおいては合わせた方が良く釣れる。というのは、ここでは大物以外の事で、
スイングで当たった中~小型魚は走ろうとしてもラインの抵抗に負け、すぐにフライ
を離してしまう。ニセモノだ!と吐き出すのではなく、咥えていられないのだと思う。
これではスイングでは釣れず、すぐに合わせてしまえば可能性もあるというだけの話。
参考までに、私の場合11m-30g(フルシンク、460gr.)使用時、ニジマス40cm-アメマス
では45cm以下の魚は98%位の確率でスイングでフッキングする事は出来ません。
従って、上記やそれ以上のラインで掛かった魚は回収中に釣れちゃった魚です。尚、
当然ですがラインが軽くなるほど、より小さな魚でも掛かります。
(今の所、このラインでの私の使用最少フックはサーモン#6なので更に細軸やサイズ
ダウンすれば、より小さな魚もフッキングします。)
過去に失敗しまくったので、今ではロッドを跳ね上げる事は無いが、ポイント毎の
攻略やキャスティングにおいてはまだまだ力不足で不十分なのが現状です。
ファイト編に続く…
…続き、スイングのフッキング-Ⅰ
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当たりと共に2~3mだけラインを引き出し、頭を振った居付きのアメマス
…続き、スイングのフッキング-Ⅰ
この釣り方は当たりがあったらフッキングに備えロッドを岸側に向けるだけ、つまり
殆ど何もしない。しかし、フライフィッシングで「当たりがあっても合わせない」という
のは、なかなか難しい。
例えば当たりとはちょっと違うかもしれないが、ドライフライに大物がゆ~っくりと
ライズした場合、フライを咥えた魚がスローモーションの様に水面下へ戻って行っ
たのを見届けてから合わせなくてはならない。
また、湖などでのリトリーブの釣りでは当たってもフッキングするまでそのままリト
リーブを続けなくてはならず、決してロッドを跳ね上げてはならない。
上の2例は耳にする事も多く雑誌等でも度々解説されるので誰もが知る所だが、
簡単な事ではなく皆、失敗を重ねて強く意識する事となる。
スイングの釣りでは当たりと同時にロッドを立てて合わせてしまうと、口の大きな魚
=大物ほどフライがスッポ抜けて来る。
自分のフライにティペットを結び、大物の硬い口の中にあると仮定して、どの様に
ティペットを引けばスッポ抜けずに深く刺さるかを想像してみると…
失敗が少ないのは、しっぽ側からゆっくりとティペットを引いた時で、口の奥や蝶番
周辺に深く刺さる。この時、フックは大きなワイドゲイプほど良い。(限度はあるが)
更にはダブルやトレブルフックを使用すると、失敗の可能性はゼロに近付く。
また、最近大流行のイントルーダー等に使われるヒネリの入ったシングルフックもオ
フセットにする事でスッポ抜け防止を狙っている。(大部分の商品はエサ針の流用)
一方、魚の前方から素早く引くと(すぐに合わせた状態)、掛かっても口先や皮一枚
の可能性が高く、カエシ部分まで刺さらない事も多く、ほぼ同時に魚は大口を開けて
暴れるのですぐに外れてスッポ抜ける。
それならダブルやトレブルを使うと上手く行くように思えるが、実際はストレート形状
のシングルフックに比べると合わせた力が分散されてしまうので、ダブルで1/2、トレ
ブルでは1/3の力でしか刺さらない。
ついでにヒネリシングルはオフセットなので、引く方向と針先が動く方向が一致せず、
大半がフックポイントまでカーブしているのでメリットは無い。
ヒネリシングルはフックポイントがカーブしていてもスイングの合わせには使えるが、
勿論最適ではない。そして、リトリーブの釣りでは最悪となる。
ここで、ダブル1/2、トレブル1/3の力でしか刺さらないのなら、スイングの合わせで
も刺さらないのでは?という疑問がわくが…
答えは「ゆっくり力強く引く」。スイングの合わせは魚が止まってから行う事で
これが可能で、「宙吊りの板と固定した板では、どちらが釘が刺さりやすいか?」
という名言もあります。
トレブルフックで動いている魚(宙吊りの板)を合わせる事になるルアーの世界でも、
トップクラスのバスプロはロッドを起こしつつバットを平行移動する様な合わせ方を
しているように見える。言い換えると、跳ね上げるのではなく強く引いている。
フライでリトリーブの釣りでの合わせも理屈は一緒で、こちらはロッドの弾力を消す
事で直接強く引き、しっかりとしたフッキングを目指している。
同じルアーでもトラウトルアーではアップストリームとトゥイッチング等を多用する為
だろうが、反射的に跳ね上げる合わせをしてしまい大物を掛け損なう場面を釣り番
組でよく見かける。
バスプロ合わせをするのが正解だが、やはり勝手に動いてしまうロッドハンドを制御
するのは簡単ではないようだ。こちらはスイング中に当たって、反射的に合わせてし
まい失敗したフライマンと一致する。
お断りしておきますが、ダブルやトレブルは例として取り上げただけで、お勧めして
いる訳ではありません。
これらのフックは、口が硬く鼻曲りで隙間だらけのサーモンを攻略する為に発達し、
ファイト時の針伸びや口切れによるバラシ対策でもあるという。
スイングのフッキング方法もサーモン攻略の歴史の中で試行錯誤の末に編み出
された伝統です。
まだ続く…
FINE TROUT 2015-遡上アメマス

Rod KⅡ Bonny Lynx 14ft #7/8 Varied Spey 通称「ネコ」
Reel SAWADA STEELHEADER
Line SA/Atlantic Salmon SH-INT
Leader 01x12ft
Fly Fire Arrow on SAWADA SL4 #6

Fire Arrow
リールが「ジィーッ」と、ゆっくりと逆転。フライは対岸の表層をスイングし始めて
間もないので、深場から浮上した魚がフライを捕え、元の付き場へと戻る途中だと
推測される。
これは深場でのケースだが、そこそこの水深や速い流れではリールはいきなり高速
で逆転する。
今迄の経験ではこの後、下りや居付きのアメマスの場合すぐに大きく頭を振る。一方、
遡りアメマスの7割位(3割は頭を振る)とニジマスの大半は高速で10m前後のライン
を引き出す。
この魚は高速で突っ走ったので、遡りorニジマスorその他…が確定! と、喜んだが
異常なスピードと手応えに、一瞬で緊張感が上回った。止まらない…
それでも20mほど?で止まり対岸に張り付いた。既に勝手にフックは掛かっている可能
性も高いが少しの間を置き、確実にラインが魚より下流へ位置する頃合いを見て、ゆっ
くりとロッドを起こしてフッキング。
不思議に思われるかもしれないが、河川の流れとフライラインのテンションを利用して
フッキングさせるのがスイングの釣り。こうすると魚の背後からラインを引く事になる
のでスッポ抜けがほとんど無い、既に300年以上の歴史と伝統があるらしい。
続く…
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